POSレジ導入に軽減税率対策補助金を活用しよう

消費税増税による消費者の負担を軽くするために導入される軽減税率ですが、事業者にとってはレジシステムの変更など一大事です。
そこでこの事業者の負担を金銭面から補助するために、軽減税率補助金という制度がありますので、積極的に活用したいものです。
今回は、POSレジを導入する事業者に焦点を当てて解説していきます。
目次
1.POSレジって何?
「POSレジ」という言葉は聞いたことがあるけれど、どういうものかは知らない。POSレジという言葉自体聞いたことがない。という方のために、まずPOSレジについて簡単に解説します。
1-1.POSレジとは
購入者とレジでお金のやり取りをした時点で、販売情報を管理できるシステムが付いているレジのことをいいます。
POSとはPoint Of Salesの頭文字からきています。 POSレジを使うとリアルタイムでデータの集計と分析が行われるため、売上の分析や在庫管理などを容易に行うことができ、業務の効率化に繋がります。
1-2.レジスターとの違い
見た目はそんなに変わらないPOSレジとレジスターですが、その中身の機能には大きな違いがあります。
レジスターは購入者とお金のやり取りをする際に、購入品の登録、購入金額の合計やお釣りの計算をすることが仕事の機器です。
これに対してPOSレジはレジスターの機能に加えて、オンラインでリアルタイムの販売情報を管理することができます。
レジスターはその機械本体に販売情報が保存され、POSレジはクラウド上に保存されるというイメージを持つと理解しやすいでしょう。
よって、レジスターは情報の集計を行う必要がありますが、POSレジは常に最新の集計情報を容易に得ることができるのです。
1-3.モバイル型がある
近年、おしゃれな美容室やカフェなどで、タブレットやスマートフォンのレジを見たことはないでしょうか。
モバイル型にすることでレジにスペースを割かれることなく、スタイリッシュなレジカウンターにすることができます。
また何よりコスト面に大きな差があり、POSシステム搭載のレジスター本体は100万円以上と高額ですが、モバイル型であれば10万円以下で導入することができます。
2.軽減税率対策補助金って何?
軽減税率対策補助金はPOSレジを導入する際の強い味方になってくれます。見ていきましょう。
2-1.軽減税率対策補助金とは
軽減税率への対応が必要となる中小企業・小規模事業者等が、複数税率対応したPOSレジなどの導入や、受発注システムの改修などを行う場合に、その経費の一部を国が補助金として支援する制度です。
補助される金額は、基本的にはかかった経費の3分の2です。
例えば、POSレジの購入金額が9万円だった場合の補助金は、6万円(9万円×2/3)となります。 ただし、次の場合には補助率が違いますので注意しましょう。
- 導入するPOSレジが1台のみで、かつかかった経費が3万円未満の場合…4分の3
- 導入するPOSレジがタブレット等の汎用端末である場合…2分の1
また補助額には上限が設けられており、いずれの場合にもレジ1台あたり20万円まで、複数台数申請等は1事業者あたり200万円までとなっています。
2-2.申請期間
補助金の対象になるのは、次の導入期間中にレジの購入、設置、支払いを終え、更に申請期間中に軽減税率対策補助金事務局に補助金の交付申請をした場合に限られます。
- 導入期間…2016年3月29日~2019年9月30日
- 申請期間…2016年4月1日~2019年12月16日(当日の消印まで有効)
2-3.対象になるレジ
複数税率に対応したレジで、種類などによって次の4種類に分けられており、申請方法が異なります。
複数税率に対応しているレジとは、次の1、2を満たすレジをいいます。
【出典サイト】複数税率対応レジの導入等支援|軽減税率対策補助金
2-3-1.【A-1型】レジ・導入型
POS機能は付いておらず、複数税率に対応しているレジです。
対象となるのは、事前に事務局に登録された指定メーカーのレジに限られます。
品番検索を利用すると、必要事項を入力するだけで簡単に対象機種であるかどうかが分かります。是非ご利用ください。
【参考サイト】A-1型 レジ・導入型 代理申請協力店検索|軽減税率対策補助金
2-3-2.【A-2型】レジ・改修型
新たにレジを購入するのではなく、既に所有している複数税率非対応のレジを、改修によって対応レジにします。
2-3-3.【A-3型】モバイルPOSレジシステム
複数税率対応したレジ機能サービスを継続的に利用できるタブレット、パソコン、スマートフォンで、レシートプリンタなどの付属機器を組み合わせて、POSレジをレジとして稼働するものをいいます。
対象となるのは、事前に事務局に登録された指定サービスベンダーが提供するレジサービスに限られます。
これにも型番検索が用意されていますので、利用しましょう。現在盛んなサービスであり、型番は随時更新されています。
【参考サイト】A-3型 モバイルPOSレジシステム 型番検索|軽減税率対策補助金
2-3-4.【A-4型】POSレジシステム
既に所有しているPOSレジシステムを、複数税率に対応するように改修または導入します。
対象となるのは、事前に事務局に登録された指定メーカーや指定ベンダーのPOSレジ、POSシステムに限られます。
【参考サイト】A-4型 POSレジシステム 型番検索|軽減税率対策補助金
3.具体的な申請方法
軽減税率対策補助金の具体的な申請方法を見ていきましょう。
3-1.申請手順
補助金が交付されるまでは、次のような流れになります。
3-1-1.申請要件に該当するかの確認
補助金の支給対象となる中小企業・小規模事業者等であるか、導入期間・申請期間内であるかなど、まずはじめに申請する資格があるかをよく確認しましょう。
3-1-2.導入する機器を検討する
補助対象となるのは、あらかじめ事務局に登録された指定メーカー、指定サービスベンダーが提供し、かつ、同じく登録された機器・サービスに限られます。
対象外のものを導入しても補助金は一切貰えませんので注意しましょう。
上記で解説した、型番検索を利用すると間違いありません。
3-1-3.補助金額の試算
補助金は事業者にとって収入となります。
せっかく貰った補助金が原因で、思わぬ利益が出たということにならないように、前もって交付される補助金額を計算しておきましょう。
3-1-4.申請書の作成
申請書に必要事項を記入します。
申請書は、中小企業対策補助金事務局のホームページからダウンロードできます。
【ダウンロード先】提出書類・申請書ダウンロード一覧|軽減税率対策補助金
A-1型(レジ・導入型)
A-2型(レジ・改修型)
A-3型(モバイルPOSレジシステム)
A-4型(POSレジシステム)
3-1-5.証明書の発行依頼
購入した機器、サービス、改修が複数税率対応レジであることを証明してくれる書類で、購入先に発行してもらいます。内容によって、「対象製品証明書」、「対象サービス証明書」、「対象パッケージ証明書」など名称が異なります。
発行依頼の方法は購入先によって異なりますので、直接確認してください。
3-1-6.必要書類を送付
申請書を折り曲げないで入れることができる封筒を使って、郵送します。
大切な書類ですので紛失などに備えて、普通郵便ではなく簡易書留などの記録が残る郵送方法をおすすめします。 ただし、メール便や宅配便は利用できませんので注意しましょう。
送付先
〒115-8691 赤羽郵便局 私書箱4号 軽減税率対策補助金事務局 申請係 行
3-2.必要書類
A-3型の必要書類の一覧です。
POSレジはA-4型もありますが、証明書の名称が異なる程度ですので、A-3型に準じて理解してください。
- 軽減税率対策補助金 交付申請書
- 対象サービス証明書
- 対象サービス、タブレット等、レシートプリンター、その他付属機器の費用明細が分かる領収書などの書類(コピー可)
- 飲食料品等を記載した仕入の請求書または納品書(コピー可)
- 振込口座が確認できる通帳(コピー可)
これらは最低限必要な書類です。この他にも条件によっては追加の書類があります。
詳しくはこちらをご確認下さい。
【参考サイト】申請の手引き|軽減税率対策補助金
【A‐3】モバイルPOSレジシステム
【A‐4】POSレジシステム導入
4.対応が必要になる業種
軽減税率導入による複数税率への対応は、もちろん多くの業種で必要となりますが、その中でも主には外食産業で、基本的にほとんどの外食産業は複数税率に対応しなければなりません。
なぜなら外食産業は、食材の仕入れは軽減税率の対象となり8%ですが、消費者に外食として提供するため売上の税率は10%となります。更にテイクアウトを取り扱っている場合には8%となり、税率の管理が重要になるからです。
まとめ
軽減税率対策補助金の申請期限は2019年12月16日となっています。 まだまだ先のことだとのんびり構えていると、大きな補助金を逃すことになりかねません。レジの導入や申請は余裕をもって行いましょう。
また自分で申請書を作成することが難しい場合には、行政書士、中小企業診断士、税理士などに作成を依頼することも可能です。