消費税ポイント還元制度の最新情報まとめ

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消費税10%増税に伴うポイント還元制度の導入案が政府から出てしばらく経ちますが、還元率や対象となるキャッシュレス決済手段など、内容の決定には至っていません。様々なニュースが飛び交う中で混乱している人も多いでしょう。

今現在わかっている制度内容、それぞれが抱えている問題点、制度が進んでいきたい方向など、最新の情報を整理して解説します。

1.ポイント還元制度とは

ポイント還元制度とは、消費者が中小店舗で商品やサービスを購入する際に、キャッシュレス決済(クレジットカードや電子マネーなど)にて代金を支払った場合には、購入額の最大5%のポイントが付与される制度です。

消費者へのポイント付与はいったんクレジットカード会社などが行い、その負担分を後から国が補助する形になります。
消費税が10%へ増税される2019年10月1日から導入予定となっており、現在政府が詳しい制度内容を詰めている段階です。

ただ、内容が二転三転することも多く、どうなるかはまだ完全には定まっていない状態です。

これまでの経緯については量が多くなり、別の記事に移動しましたので、ご興味ある方は、こちらをご覧ください。

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2.最新情報

2019年2月15日現在の最新の制度内容です。

2-1.還元率最大5%で、実施は9ヶ月間

還元率

現状、キャッシュレス決済時のポイント還元率について、5%/2%/還元なしの3種類が混在していますので、整理しておきます。

ポイント還元率対象店舗支払方法
5%中小企業(※)や個人が経営する
小売、飲食、宿泊など
キャッシュレス
2%コンビニ、外食、ガソリンスタンドなどの
フランチャイズチェーン
(還元なし)上記以外の店舗
大手スーパー、百貨店など
すべての店舗現金

※小売業では、資本金5,000万円以下または従業員50人以下

実施期間

現状、制度実施期間は、増税後9ヶ月間とされています(2019年10月1日~2020年6月30日)。

2-2.還元率が異なることで混乱の可能性

もともと、政府は、ポイント還元率5%の方向でしたが、コンビニや外食のフランチャイズチェーン(FC)から、「還元率5%の負担は重過ぎる」という反発があがり、フランチャイズチェーンについては、還元率2%で調整することになりました。

フランチャイズチェーン(FC)では、FC本部の直営店と、主に個人や中小企業が営むFC加盟店の2種類が存在しますが、国が還元費用を負担するのはFC加盟店のみであり、FC直営店は対象外となっています。

つまり、直営店と加盟店のすべての店舗で同じ還元率を実現するためには、FC本社が直営店のポイント還元費用を負担する必要があり、負担が重すぎるのです。

そのため、フランチャイズチェーン全体で還元率2%に調整することになりました。

しかしながら、フランチャイズチェーン(FC)に属さない個人や中小企業の店舗の還元率は5%のままであり、消費者の混乱が予想されます。

2-3.ポイント還元対象から一部の業種・商品を除外

換金性が高い金券や、もともと消費税が非課税のものなど、一部の業種・商品はポイント還元から除外されます。

ポイント還元対象から除外する業種・商品は主に4つあります。

(1)換金性の高い商品、金融商品

商品券、切手、印紙、プリペイドカードといった換金性の高い商品は、金券ショップなどで転売されるおそれがあります。

たとえば、1000円で商品券を仕入れて5%(50円分)のポイント還元を受け、金券ショップに持ち込んで980円で売却したとすると、最終的には、50円-(1000円-980円)=30円分、得することになってしまいます。
そのため、換金性の高い商品は除外されます。

また、投資信託、株式、債券、外国為替などの金融商品も対象から外します。

(2)住宅、自動車

住宅と自動車に対しては、すでに減税の対策がされているため除外されます。

自動車については、自動車取得税の2%減税がなされ、住宅については、住宅ローン減税期間が3年間延長されます。

(3)消費税が非課税のサービス

消費税がかからないものは、ポイント還元の対象から除外されます。消費税増税に対する対策ですので、もともと消費税が非課税であれば、ポイントを還元する意味がないからです。

消費税が非課税である主なサービスとして、医療機関や学校があります。
病院での診察や手術、介護施設の利用料などは、公的な医療保険が適用されていて、非課税ですので、対象外となります。
また、小中学校や高校、大学、専修学校の授業料、入学金、受験料も、対象外です。教科書や学校内の売店も含まれます。

居住のために借りているアパートやマンションの家賃も非課税ですので、対象外となるでしょう。

(4)風俗店、反社会的勢力と関連する事業者

当たり前といえばそうかもしれませんが、風俗店や、反社会的勢力と関係のある事業者も除外されます。

2-4.ポイント還元の乱用に対しては刑事罰も検討

ポイント還元の制度を悪用して、複数の小売店が売買を繰り返せば、ポイントを無限にためられることになりますので、これらの不正を防ぐために補助金の要綱で禁止事項を定める予定です。

不適切な行為を行ったり、また黙認した事業者については、次のようなペナルティを課す予定となっています。

  1. 取引の停止
  2. 補助金の返還要求
  3. 補助金の不正受給による刑事告発

【参考】その他の消費税増税対策

自民党はポイント還元制度の他にも、消費税増税による経済への影響を軽減するため、次のような対策を検討しています。

(1)マイナンバーカードにポイント加算

マイナンバーカードの取得者に対して、買い物で使えるポイントを国が上乗せ給付し、地域の商店街などで使えるようにします。
既存の自治体ポイント制度(※)に、国が全国一律でポイントを給付する制度を加える方向で検討中です。導入は2020年4月予定です。

※自治体ポイントとはマイナンバーカード所有者が利用できる制度で、クレジットカードのポイントや航空会社のマイレージなどを、自治体ポイントに交換・合算し、一定の買い物にそのポイントを使用することができます。

【参考サイト】自治体ポイントナビ|総務省

(2)プレミアム付き商品券の発行

低所得者や子育て世帯を対象としたプレミアム付き商品券が発行されます。
ポイント還元制度やマイナンバーカードのようにややこしい仕組みではなく、紙の券面による発行の予定で、増税と同時の2019年10月1日に開始し、有効期限は半年の予定です。

(3)住宅ローン減税の拡充

住宅ローン減税の税額控除を受けられる期間を、現在の10年から13年に3年延長します。
ただし延長される3年間の控除額は、建物価格の2%と借入残高の1%のいずれか少ない方の金額となります。

(4)自動車取得時の税金を減税

現在の自動車取得税に代わって「環境性能割」が導入され、最大2%減税されます。 税率は1年半かけて段階的に引き上げ、元に戻す計画です。

(5)税抜価格表示の特例を延長

店頭での価格表示は本来消費税を含めた総額で記載しなければなりませんが、8%への増税時に税抜表示を特例で認めていました。 その期限が2018年9月だったのですが、更に2年半延長されました。

3.問題点

ポイント還元制度には多くの問題点があります。

(1)制度の導入と維持にかかる財源

ポイント還元制度に対応するため、キャッシュレス決済ができない中小店舗は決済端末を購入しなければなりません。
またポイントを5%付与することで、実質的な税率は5%、軽減税率が適用される食料品などに関しては3%となります。

これら決済端末を購入するための補助金、付与されるポイント、制度を運営する施設にかかる費用など必要な財源は数千億円になり、更に還元率を2%から5%にしたことで、必要な財源も格段にアップし、与党内からも「バラマキ」の声が上がっています。

現在のところ約4000億円の財源を確保しているとされていますが、まったく足りなくなる可能性も指摘されています。
家計の消費は約300兆円あり、そのうち約50兆円分がポイント還元の対象だとしても、仮に2%還元なら1兆円、5%還元なら2.5兆円の財源が必要になります。

これでは、消費税増税による増収分5.6兆円の約半分を費やすことになり、10%に増税する意味がなくなるともいえます。

(2)システム導入までの期間が短い

ポイント還元制度はまだ検討中の段階であり、10月に開始されるまでの期間はあまりありません。それで果たして全国の中小店舗の準備が整うかは疑問です。

(3)店側の負担が大きい

軽減税率導入に対応するために、複数税率対応のPOSレジを購入しなければならない店は、さらにキャッシュレス決済端末も購入しなければならないという金銭的負担と手間がかかります。
しかし対応したからといって大きな得はなく、ただ国の制度に振り回されているような気がします。

(4)ポイント還元対象の金額に税抜/税込が混在

もともとは税抜価格に対してポイントを付与することを検討していましたが、クレジットカード会社の多くが税込価格に対してポイントを付与するシステムを採用しており、事業者の負担を減らすため、税込価格に対するポイント付与をメインとする方向になっています。

しかし、一部の事業者では税抜価格に対してポイント付与をしているところもあり、混在する可能性もあります。

(5)キャッシュレス決済が使えない人は損

キャッシュレス決済を使うだけで5%のポイントが貰えるのであれば、それに対応していない店からは顧客が離れていくことが懸念されます。

また高齢者や低所得者などの本来消費税増税の影響から守られるべき人は、クレジットカードなどのキャッシュレス決済手段を持つことが難しい場合が多く、制度の恩恵を受けにくくなります。

反対にクレジットカードを利用して多額の買い物をすることが多い高所得層は、還元額が大きくなってしまい、お金持ちの優遇制度と捉えられても仕方ありません。

(6)クレジットカードの決済手数料が高い

ポイント還元制度導入後は、ほとんどの消費者がカード決済を利用すると考えられるため、企業側の手数料負担は大きなものとなります。

これに関しては現在、経済産業省が国内のクレジットカード会社に対して、手数料率の上限を3.25%にするよう要請中です。応じないクレジットカード会社については制度の対象から外すことも検討されています。

(7)法人が取得したポイント

法人カードの使用によって法人にポイントが付与された場合、それはポイント還元制度の趣旨に対して妥当であるかという問題があります。景気対策としては妥当ですが、消費税増税による消費者の負担軽減という点には疑問が残ります。

会計処理としては、通常のクレジットカードのポイントなどと同様の取り扱いになるのではないかと思われます。

(8)利用されなかったポイント

今のところ、ポイントを利用できるのは、2019年10月1日~2020年6月30日の間とされています。

もし、その間に消費者がポイントを使い切らずに余ってしまったら、カード会社などの決済事業者の得になってしまいます。
なぜなら、消費者に付与されたポイントは、国が決済事業者に支給するからです。

4.制度導入のねらい

ポイント還元制度を導入することによる目的は何なのでしょうか。最後にまとめます。

(1)増税による消費低迷を回避する

2014年4月の消費税8%増税時には、その前後で消費の大幅な駆け込みと反動が生じ、その後2015年から2016年にかけて低迷しました。

今回の10%への増税でも同様の消費低迷期を迎えることがないようにするために、消費税の実質的な負担額を8%時よりも軽くすることで、増税前の消費を維持することができ、場合によっては増税前より促進することができます。

(2)中小店舗を守る

政府は今回の増税時に消費税還元セールを認めるガイドラインを作成しています。

よって、百貨店やショッピングモールなどの大手小売り店では、増税後でも増税分2%は自社負担で値引きして、消費税8%のときと同様の金額で販売するような消費税還元セールが行われることが予想されます。

しかし中小店舗はこのようなセールに対応する資金力がないことが多いため、ポイント還元制度を設けることによって国が支援することができます。

(3)キャッシュレス化の促進

主要各国のキャッシュレス決済比率の多くが50%前後であるのに対して、日本は18.4%とキャッシュレス化が遅れています。
政府はこれを2027年までに40%程度まで倍増させることを目指しています。

経済産業省 キャッシュレス

【出典サイト】キャッシュレス・ビジョン|経済産業省
(P10図表4各国のキャッシュレス決済比率の状況(2015年))

(4)2020年東京五輪に間に合わせたい

2020年の東京五輪開催は、日本に爆発的な経済効果を生み出すチャンスです。
世界各国から訪れるキャッシュレス決済に馴染み深い外国人観光客が、日本での支払いに戸惑うことがないようにするためには、多くの店舗でキャッシュレス決済が当たり前に利用できるようになっていなければなりません。

またキャッシュレス決済は購入しても手元の現金がなくならないため、現金購入時よりも多くの買い物をしてしまう傾向があり、日本でより多くの消費をして貰うことができます。

(5)マイナンバーカードの普及

2016年1月から始まったマイナンバー制度ですが、2018年3月時点におけるマイナンバーカードの普及率は1割程度にとどまっています。
マイナンバー制度は行政側のメリットが大きく、前述した「自治体ポイント」は魅力的な制度ではありますが、それでもわざわざカード発行を申請するまでのモチベーションには至らない人が多いのが現況です。

そこでマイナンバーカードとポイント還元制度を絡めてポイントを加算することでメリットを増やし、マイナンバーカードの普及を促進したい狙いがあります。

まとめ

増税分の倍以上である5%のポイント還元には、与党内からも「バラマキ」と批判が上がっています。

景気対策というのが本来の目的であったはずですが、キャッシュレス決済やマイナンバーカードの普及など、ついでの目的も合わせてしまっていることで、使い勝手がどんどん悪くなっている印象です。

まだまだ変更される余地があり、実際に決定の公表があるまで目が離せない制度です。

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