税込み/税抜き、どちらの表示が正しいの?

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税込み 税抜き

「抹茶ラテ 432円(税込)」「抹茶ラテ 400円(税抜)」
このように表示してある2つの抹茶ラテは、同額です。どちらにも消費税8%がかかるので、支払い金額が432円になるからです。

法律的には税込表示の「抹茶ラテ 432円(税込)」が正しいのですが、「抹茶ラテ 400円(税抜)」が違法なわけではありません。

法律に合致していないのに違法でないのには「事情」があります。そしてその事情は今後変わる可能性があります。

税込表示がなぜ正しいのか、税抜表示がなぜ違法でないのか、この原則と例外のルールは今後どのように変わるのか、などを解説します。
消費者も、小売店の経営者も、正しい知識を身につけてトラブルを防ぎましょう。

なおこの記事で「消費税」と表記した場合、「地方消費税」を含んでいます。

1.税込みと税抜きの表示例

まずは原則からみていきましょう。

税込みで「432円(税込)」と表示する方法を総額表示といい、消費税法第10条によって事業者に努力義務が課されています。
国税庁は次のいずれかの方法で表示するよう指導しています。

パターンA 10,800円
パターンB 10,800円(税込)
パターンC 10,800円(税抜価格10,000円)
パターンD 10,800円(うち消費税額等800円)
パターンE 10,800円(税抜価格10,000円、消費税額等800円)
パターンF 10,000円(税込10,800円)

パターンB~Fは、税込か否かが言葉で明確に書かれてあるので、正しい表記であることはすぐにわかります。

ポイントはパターンAです。消費税について何も書かれていない場合、それは税込価格を意味する、と国税庁では解釈しているのです。
なぜなら法律で、税込価格(総額表示)にすべきであると定めているからです。

また税の表示では「内税」や「外税」という言葉も出てきます。

内税とは、税込価格のなかの消費税分のことです。
外税とは、税抜価格の消費税分のことです。

2.総額表示方式:原則、税込み

総額表示方式が義務化されたのは2004年4月です。その内容は、消費者に示す値札や広告に価格を表示するときは消費税相当額を含んだ支払総額の表示を義務づける、というものです。

2-1.目的

国が小売店などに総額表示を義務づけたのは、消費税によって国民が「この商品は一体いくらなのか」と疑問に感じるようになったからです。

人々の消費行動において支払い金額は、本体価格より重要なときがあります。それは買い物するときに「お金はいくら必要なのか」を知っておかなければならないからです。

一方で小売業などの商品やサービスを販売する側には、安くみせたいという気持ちが働きます。そのほうが消費者に手を伸ばしてもらいやすくなるからです。
そのため企業などは、できれば消費税を含まない金額を表示したい、と考えます。

そこで国は、消費者が値札や広告を見てすぐに「いくら払えばいいのか」がわかるように、総額表示というルールをつくったのです。
このルールがあれば、消費税がかかることを意図的に隠して安くみせかけるアンフェアな方法を禁止できます。

総額表示は消費者の利益を考慮したルールなのです。

2-2.対象

総額表示の義務対象となるのは、「消費者に対して商品やサービスを販売する課税事業者が行う価格表示」となっています。
「」内は法律用語をそのまま引用したので少し難解な表現になっていますが、「ほとんどすべての価格表示」が総額表示の義務対象になっている、と考えてよいでしょう。

財務省は総額表示の義務対象として、次のものを例示しています。

  • 値札、商品陳列棚、店内表示、商品カタログなどへの価格表示
  • 商品のパッケージなどへ印字、あるいは貼付した価格表示
  • 新聞折込広告、ダイレクトメールなどにより配布するチラシ
  • 新聞、雑誌、テレビ、インターネットホームページ、電子メールなどの媒体を利用した広告
  • ポスターなど

ただ、見積書、契約書、請求書などは総額表示を必要としていません。このような書類は事業者間でやりとりされることが一般的で、消費者が目にする機会が少ないからです。

したがって見積書であっても、広告やホームページに掲載して一般消費者が目につくようにしている場合は、総額表示が必要になります。

3.特例で税抜きもOK

消費者の利益を考慮して導入された総額表示の原則義務化ですが、これが小売店などの負担を増やしています。

特に消費税率が変わると、総額表示をしている小売店などはすべての価格表示を変更しなければなりません。店頭の値札だけでなく、インターネットのサイトの価格も変更する必要があります。

そこで政府は「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」(消費税転嫁対策特別措置法)を制定し、2013年10月1日から2021年3月31日までの間は特例として、税別価格(本体価格)を表示してもよい(総額表示でなくてもよい)ことにしました。

3-1.目的

2013年10月1日に「総額表示でなくてもよい特例」が導入されたのは、2014年4月1日に消費増税(5%→8%)が控えていたからです。

消費税は1989年4月に3%からスタートして、1997年4月に5%になりました。

さらに8%になると、小売店などは三度(みたび)、値札の張り替えやレジシステムの変更などを強いられることになります。それはさすがに負担が大きすぎるということで、特例が導入されたのです。

3-2.条件:誤認されないための措置とは?

「総額表示でなくてもよい特例」は小売店の負担を減らすために導入されたのですが、今度は、「価格の表示は総額表示のはず」と考えている消費者を混乱させかねません。
そこで財務省は2013年9月10日に「総額表示義務に関する特例の適用を受けるために必要となる誤認防止措置に関する考え方」を発表しました(*)。

これは、総額表示をしない小売業者などに対し、「消費者が価格表示を誤認しないように注意しなさい」「誤認防止措置を講じなさい」と呼び掛けたものです。

誤認防止措置の一例として、財務省は次のような表示が望ましいとしています。

  • 10,000円(税抜き)
  • 10,000円(税抜価格)
  • 10,000円(税別)
  • 10,000円(税別価格)
  • 10,000円(本体)
  • 10,000円(本体価格)
  • 10,000円+税
  • 10,000円+消費税

このように表示すれば税抜価格表示が許されるわけです。つまり、税抜の金額を表示するにしても「この金額以外に消費税がかかります」ということを強調しなさい、ということです。

もしくは個々の商品の値札に「10,000円(税抜き)」と書かずに、「10,000円」とのみ書くことも許されていますが、そのときは店内に「当店の価格はすべて税抜表示となっています」といった掲示をしなければなりません。
そのような掲示があれば、誤認防止措置を講じたことになります。

ただ財務省は、このような誤認防止措置が、「レジ周辺だけに施されている」「商品カタログの申込用紙だけに施されている」「ネット通販の決済画面にだけ施されている」場合は、誤認防止措置を講じたとはみなさない、としています。

3-3.罰則

総額表示をしなくても、罰則はありません。また、「総額表示でなくてもよい特例」を使って税抜価格を表示しつつ、誤認防止措置を講じなくても罰則はありません。

ただ、そもそも消費者が誤認するような表示をすると、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」という法律に違反する恐れがあります。この法律に違反すると、消費者庁が措置命令を下したりします。

したがって結果的に、誤認防止措置を講じない税抜価格表示が消費者庁によってとがめられることは十分あり得ます。

3-4.期限

「総額表示でなくてもよい特例」(消費税転嫁対策特別措置法による特例)は当初、2017年3月31日で終了する予定でしたが、2021年3月31日までに延期されています(2019年2月時点の情報です)。

4.小売店には税抜表示のほうがメリットが大きい

総額表示(税込価格の表示)が原則で、税抜価格の表示のほうが例外なのですが、税抜表示の店が意外に多いと感じている人は少なくないでしょう。
それは小売店などにとっては税抜表示のほうがメリットが大きいからです。

税抜表示にしておけば、税率が変わっても値札を変える必要がありません。例えば消費税率が3%から5%に変わったとき、書店では書籍の価格表示の部分に新価格を書いたシールを貼って対応し、その混乱ぶりがマスコミで大きく報じられました。

そして「税込価格」より「税抜価格+消費税」のほうが安くみえます。例えば、以下のとおりです。

  • 980円(税抜)
  • 税込1,058円

上記の2つの表示は消費税8%であれば同じ総額になりますが、印象はまったく異なります。「980円(税抜)」は「千円を切る」という印象が強まり、「税込1,058円」は「四捨五入すれば1,100円になる」という印象を与えます。

こうした効果が小さくないことからスーパーなどの小売の業界団体は、「総額表示でなくてもよい特例」(税抜表示OK)の恒久化(原則化)を政府に求めています。

その訴えは切実で、日本スーパーマーケット協会は「総額表示をした小売店などは売上を落とし、多くが税抜表示(本体価格のみの表示)に切り替えた。税抜表示が売り上げ増につながるのは明白」と述べています。

それほど「980円(税抜)」「税込1,058円」の印象の違いは影響が大きいのです。

5.OKな税抜価格表示

税抜価格表示(本体価格表示)が認められる方法を紹介します。

  • 個々の商品の値札に税抜価格を表示し、消費者の目につきやすい場所に、ポップなどの目立つ掲示物を使って「税抜表示をしている」ことを明示する
  • 税抜表示であることを明示したうえで店内に「1万円均一セール」と書いたポスターを貼る
  • 店名を「100円ショップ」とすることは、「値札や広告」ではないので問題ない

上記の表示方法はまったく問題ありませんが、1つイエローカードが出そうな表示方法を紹介します。
「1,080円(税抜)」という表示です。

この値札がついた商品の支払い総額は、これに消費税8%を上乗せした1,166円(=1,080円×108%)です。

「1,080円(税抜)」という価格設定と表示には、少なからぬ悪意を感じます。
「1,080円」を見ると、多くの人は「本体価格1,000円の税込価格」と思うでしょう。しかし「税抜」と明示しているので、店側はレジで8%を上乗せして客に請求できます。

もちろん「厳格な原価計算をして本体価格が1,080円になった」という説明は違法ではありませんが、消費者を混乱させる可能性があることは承知すべきでしょう。

6.こんな税抜き表示はNG

次のような税抜表示はNGと心得るべきです。こうした表示は消費者から「景品表示法に抵触しないのか」と疑われるでしょう。

  1. 税込み価格が小さい字で表示されていて読みにくい
  2. 飲食店において、メニューには「税抜き」と書かずに税抜価格を表示し、レジの横に掲示した価格表にだけ「税抜価格」と表示している
  3. スーパーの肉や魚などの売り場で、ポップには「100グラム当たりの税込価格」が書いてあるが、実際の切り身のパックに貼りつけた価格ラベルには税抜価格が印刷されている

3番目の表示ですが、例えばポップに「鶏肉100グラム当たり86円(税込)」と書かれてあったとします。そして実際の鶏肉の切り身が入っているパックには「300グラム240円」としか書かれていなかったとします。

消費者がポップを見ながらパックの「300グラム240円」の表示を見れば、「300グラム240円は税別価格だから、支払い総額は259円(=240円×108%)になるな」とわかります。

しかし、消費者がポップを見落としたり、ポップから離れたりしたら、「300グラム240円」の表示は、税込価格のようにも感じられます。これは誤認を招く表示といえるでしょう。

消費者は店の表示方法に悪意を感じたり誤認したりしたら、消費者庁に相談することができます。消費者庁は景品表示法に則って対処するはずです。

7.税率が変わるときは注意が必要

旧税率の表示が残っている

2019年10月に、消費増税が予定されています。多くの商品やサービスが8%から10%に変わります。
総額表示(税込価格表示)をしている小売店のなかには、10%込みの価格表示が間に合わないことも考えられます。

小売店はその場合、「旧税率8%の税込価格を表示をしている商品については、レジにてあらためて新税率10%で精算させていただきます」というような注意書きを、店内に目立つように掲示すべきでしょう。

早めに新税率の表示をしている

逆に、増税当日の混乱を防ぐために、早めに10%込みの価格表示に変更している場合もあるでしょう。

その場合は、「すでに新税率10%の税込価格を表示をしている商品については、レジにてあらためて税率8%で精算させていただきます」というような注意書きを、目立つ場所に掲示します。

消費者も、どちらの税率で表示されているのか疑問に思ったときは、店員さんに確認しましょう。

まとめ

価格の表示に関するルールは複雑で、消費者だけでなく小売店も混乱しやすい内容です。

したがって小売店側は「原則、総額表示」「例外的に税抜表示」「誤認防止策の徹底」の3項目をしっかり押さえておき、消費マインドを冷え込ませないようにしつつも、消費者を迷わせないようにしなければなりません。

消費者は自衛策として、常に「これは税込価格なのか税抜価格なのか」と注意する必要があるでしょう。
そして、税抜価格に惑わされないようにしてください。「安いな」と感じたら消費税の有無を疑うようにしましょう。

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