Google Adwords(アドワーズ)とFacebook広告に消費税はかかる?

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Google Adwords

比較的安価で、手軽に出稿できるインターネット広告、高い効果が望めることもあり、活用している事業者も多いことでしょう。

しかし、現在主流となっているGoogleやFacebookなどの広告は、相手が外国企業ということもあり、消費税の取り扱いがやや複雑です。

近年法改正が頻繁に行われている分野でもありますので、最新の情報を身に付けておきましょう。

1.電気通信利用役務の提供とは?

電気通信利用役務の提供とは、電子書籍・音楽・広告配信など、インターネットを介して行われるサービスの提供のことを言います。
Google AdWordsやFacebook広告もこの電気通信利用役務の提供に該当します。

この電気通信利用役務の提供の国内取引の判定方法が、2015年10月に次のとおり改正されました。

  • 改正前…「サービスの提供を行う者」の事務所等の所在地で判定
  • 現行…「サービスの提供を受ける者」の事務所等の所在地で判定

消費税の区分判定は、まずは国内取引と国外取引に分けるところから始まります。
Google AdWordsとFacebook広告の消費税区分を考えるうえでも、第一段階としてどちらに該当するのかを考える必要があります。

なお、Instagramは2012年にFacebookに買収されていますので、消費税の取り扱いについては、Instagram広告もFacebook広告と同様です。

1-1.Google AdWordsとFacebook広告は国内取引

現行の制度に当てはめると、Google AdWordsとFacebook広告は国内取引に該当することとなります。

改正前は「サービスの提供を行う者=GoogleやFacebook」の事務所等の所在地による判定だったため国外取引に該当したのですが、現行では「サービスの提供を受ける者=広告出稿主」の事務所等の所在地で判定するため、国内取引になるという考え方です。

 改正前改正後
サービス提供者国外
サービス利用者国内
取引の判定国外取引国内取引
課税区分不課税課税

1-2.電気通信利用役務の提供に該当する取引

電気通信利用役務の提供に該当する取引には、インターネット広告以外にも様々な取引があります。
以下に該当する取引を行っている事業者は、消費税区分を慎重に検討する必要があります。

  • インターネット等を通じて配信される電子書籍・電子新聞・音楽・映像・アプリ等
  • クラウド上のソフトウエアやデータベースを利用させるサービス
  • クラウド上で電子データの保存を行う場所を提供するサービス
  • インターネットを通じた広告の配信・掲載
  • インターネット上のショッピングサイト・オークションサイトを利用させるサービス
  • インターネット上でゲームソフト等を販売する場所を利用させるサービス
  • インターネットを介して行う宿泊予約、飲食店予約サイト
  • インターネットを介して行う英会話教室

2.改正前のインターネット広告の問題点

ここで、インターネット広告配信サービスを含む、電気通信利用役務の提供の判定方法が変更になった背景に触れておきます。

以前は、Yahoo!は課税、Adwordsは対象外だった

日本国内でインターネット広告を出稿しようと考えた場合、Google AdWords広告以外にもYahoo!プロモーション広告など様々な広告配信サービスが選択肢に挙がります。
分かりやすくするためにGoogle AdWordsとYahoo!プロモーション広告の比較で考えてみましょう。

Yahoo!プロモーション広告は国内企業であるヤフーが提供するサービスなので、その利用料金は消費税の課税対象となります。
当然、サービス利用時には消費税が上乗せされた金額を支払います。

一方、Google AdWordsは外国企業との取引であるため、消費税の課税対象外です。
したがってGoogle AdWordsを利用した際に支払う金額には、消費税額が上乗せされていません。

国外企業の広告配信サービスを利用すれば消費税額が上乗せされていない金額を支払えば済むのに対し、国内企業の広告配信サービスを利用すると消費税がかかり、利用料金が割高になっていたのです。

しかし、Google AdWordsもYahoo!プロモーション広告も、インターネット広告配信という同様のサービスの提供であり、どちらも日本国内でサービスの提供を受けている点も同じです。
それにもかかわらず、消費税の制度上の問題で、国内企業の価格競争力が弱くなってしまっていたという実情があったのです。

そこで、国内取引の判定方法を見直すことにより、不公平感を解消しようとしたのが改正の背景です。

3.リバースチャージ方式とは?

国内取引の判定方法が改正された背景について解説しましたが、実はまだ問題が残されていました。

サービスの提供を受ける者が国内事業者である場合、サービスの提供者が外国企業でも国内取引に該当するのは説明したとおりです。
しかし、海外の事業者から消費税を徴収することは困難であるという問題が生じます。

その問題点を解決するために、事業者向けサービスに限り、国内のサービス利用者が、海外の事業者に代わって消費税を納税する制度が導入されました。
この制度のことを「リバースチャージ方式」といいます。

リバースチャージ

「サービスを受けた側が消費税を払うなんておかしい」と感じる方もいることでしょう。
しかし、リバースチャージ方式は課税売上と課税仕入れに両建てすることになるため、結果的に納付する消費税額はプラスマイナス0となるケースが多いのです。

リバースチャージ方式の計算方法については記事後半で具体例を挙げて解説します。

3-1.リバースチャージ方式の対象は「事業者向け」のみ

実は電気通信利用役務の提供は、「消費者向け」と「事業者向け」に分けられます。
そのうちリバースチャージ方式の対象となるのは、事業者向けサービスのみとなります。

事業者向けサービスであるかどうかは、事業の性質や取引条件が「事業者向け」であるかどうかで判定されます。
実際のサービス利用者が事業者か消費者かによって変わるわけではありません。
例えばサービスの利用に当たり、個別に契約条件を定めて固有の契約を結ぶ取引は典型的な事業者向け取引です。

なお、Google AdwordsとFacebook広告はともに事業者向けとされており、リバースチャージ方式の対象となります。

Google AdwordsもFacebook広告も、消費者と事業者の区別なく登録できますし、個別に交渉して固有の契約を結ぶ取引条件でもありません。
この点だけを見れば事業者向けとは言い切れないように思えます。

しかし、Google AdwordsとFacebook広告は、広告配信というサービスの性質から、事業者向けに該当すると判断されたようです。

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4.Google AdwordsやFacebook広告の消費税区分

ここからいよいよ本題です。Google AdwordsとFacebook広告の消費税の経理処理方法は、課税売上割合によって変わります。
課税売上割合についての詳細な解説はここでは避けますが、気になる方は別記事を参照してください。

  • 課税売上割合が95%以上→考慮不要
  • 課税売上割合が95%未満→リバースチャージ方式の計算に含める

課税売上割合が95%以上である事業者は、Google AdwordsとFacebook広告の消費税については考慮不要です。
頻繁に株取引を行っていたり、土地の売却等を行わない場合は大半の事業者が課税売上割合95%以上となるはずですので、Google Adwordsとfacebook広告の消費税処理に頭を悩ませる必要はないでしょう。

一方、課税売上割合が95%未満となった場合、リバースチャージ方式によってGoogle AdwordsとFacebook広告の金額を消費税額の計算に含めることとなります。
その計算方法については次章で解説します。

なお、簡易課税を適用している場合にはリバースチャージ方式は適用されないため、Google AdwordsとFacebook広告の消費税については考慮不要です。

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5.仕訳方法の具体例

課税売上割合95%以上の事業者と簡易課税を適用している事業者は、消費税対象外なので考慮不要です。
ここでは課税売上割合が95%未満である前提で解説します。

5-1.リバースチャージ方式の仕訳例

記事前半でも解説したとおり、リバースチャージ方式による場合、課税売上げと課税仕入れに消費税を両建てすることになります。

違和感のある処理だと思いますが、一番重要な部分なので両建て処理することをまずは覚えておいてください。

STEP①Google Adwordsの広告料支払い時の仕訳例

Google Adwordsに広告料100,000円を支払った(税率10%)。

借方金額貸方金額
広告宣伝費100,000円普通預金100,000円
仮払消費税等10,000円仮受消費税等10,000円

このように、仮払消費税と仮受消費税を両建てするのがリバースチャージ方式の仕訳ポイントです。

STEP②決算仕訳例

決算を迎え、当期の課税売上割合が80%であることが判明した。

借方金額貸方金額
仮受消費税等10,000円仮払消費税等10,000円
雑損失2,000円未払消費税等2,000円

決算時に仮払消費税と仮受消費税を相殺します。
ただし、課税売上割合が80%であるため、10,000円×80%=8,000円しか控除することができませんので、残りの2,000円は雑損失と未払消費税に計上します(「雑損失」に代わり「租税公課」の勘定科目を利用することもできます)。

ただし、上記の処理は個別対応方式で「共通対応」に区分された場合や、一括比例配分方式によって計算した場合の処理方法である点に留意してください。

個別対応方式で「課税売上対応」に区分された場合は、課税売上割合により、雑損失と未払消費税等を計上する必要はありません。

5-2.リバースチャージ方式の消費税計算例

決算時に確定した数字が以下のとおりであったと仮定します。
なお、消費税額の計算は個別対応方式によるものとします。税率は10%を想定。

項目金額(税抜)
課税売上高10,000,000円
課税売上割合90%
課税仕入(課税売上対応)5,000,000円
課税仕入(共通対応)2,000,000円
Google Adwordsの支出1,000,000円

なお、Google Adwordsの支出には元々消費税額が含まれていないため、税込経理方式を採用している場合でも税抜処理は不要です。

STEP①売上の消費税額を算出する

まずは課税売上の金額と、Google Adwordsへの支出の合計額に消費税率を乗じ、売上の消費税を算出します。

課税売上10,000,000円+Google Adwords支出1,000,000円=11,000,000円

売上の消費税:11,000,000円×10%=1,100,000円

STEP②仕入の消費税額を算出する

個別対応方式によって計算する場合、仕入れ金額を「課税売上対応」「非課税売上対応」「共通対応」に区分する必要があります。

ここでGoogle Adwordsの支出がどれに該当するのかを考えなければなりませんが、商品の広告であれば多くの場合「課税売上対応」に該当するはずですので、ここではGoogle Adwordsの支出は「課税売上対応」として計算します。

  1. 課税仕入(課税売上対応)の消費税額…5,000,000円×10%=500,000円
  2. 課税仕入(共通対応)の消費税額…2,000,000円×10%=200,000円
  3. Google Adwords支出の消費税額…1,000,000円×10%=100,000円
  4. 仕入の消費税額…(500,000円+100,000円)+200,000円×90%=780,000円

仕入の消費税額は上記の手順で算出します。
共通対応部分には課税売上割合を乗じることを忘れないようにしましょう。

もし、Google Adwordsの支出が共通対応に該当する場合には、Google Adwords支出の消費税額にも課税売上割合90%を乗じることになります。

STEP③消費税額

最後に、売上の消費税額から仕入の消費税額を控除して納付税額を求めます。

1,100,000円-780,000円=320,000円

6.インターネット広告の消費税は今後も改正が有り得る

Google Adwordsとfacebook広告の消費税処理について解説してきました。

広告配信サービスに限らず、インターネットを利用したサービスの提供は税法の整備が遅れている部分でもあります。
今後も細かい部分の改正が生じることも想定されるため、電気通信利用役務の提供に該当するサービスを頻繁に利用する方は、改正情報に敏感になっておく必要があるでしょう。

また、リバースチャージ方式など近年改正された分野については、税務署職員や税理士もあまり深く理解していなかったり、間違った認識を持っている方もいるのが実情です。

他人から聞いた情報を鵜呑みにせず、事業者自身も知識を身につけておくことがリスク回避に繋がるのではないでしょうか。

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