消費税10%増税、延期の可能性はあるのか?

★ お気に入りに追加
10%増税延期

2019年10月1日に予定されている消費税増税。

「増税される」という話題は新聞やニュースで目にすることが多いですが、増税が確定しているのかどうか不明瞭な部分もあります。
ここ数年消費税増税が立て続けに延期されていることもあり、再延期はありうるのでしょうか?

そこで、過去の消費税増税が延期になった背景を振り返るとともに、今回の10%への増税が予定通り実施されるのかどうか、最新の動向から考察していきます。

1.これまでの消費税10%増税が延期された経緯

まずはここ数年の消費税増税を巡る流れを再確認しておきましょう。

  1. 2012年6月、民主、自民、公明の3党合意に基づき、2014年4月に8%、2015年10月に10%に引き上げる法律が成立
  2. 2013年10月、8%への引き上げを閣議決定し、2014年4月に予定通り8%に増税が実施される
  3. 2014年11月、10%への再増税を2015年10月→2017年4月に先送り表明
  4. 2016年6月、安倍首相が10%への増税を2017年4月→2019年10月に延期すると表明

このように、8%への増税は当初の予定通り実行されたものの、10%への増税は当初の予定である「2015年10月」から「2017年4月」、さらには「2019年10月」へと2度の延期となっていることが分かります。

2.消費税10%増税が延期されてきた理由

繰り返しになりますが、本来は2015年10月に消費税率を10%に増税することが約束されていました。
にもかかわらず、安倍首相が2度にわたり増税を延期した理由はいったい何でしょうか。

一番の要因は、消費税率8%への増税後に消費が大きく落ち込んだことが影響していると言われています。

一般的に消費税増税は景気減速の要因となると考えられており、実際に8%への増税後には消費が落ち込むなどの影響がモロに出ました。したがって安倍首相は、消費税増税を断行するよりも、様々な経済政策を駆使してデフレ脱却を急いだほうが税収の伸びに繋がり、財政再建の近道となると考えたとされています。

加えて言えば、2度目の延期(2017年4月→2019年10月)がされた背景には、2020年東京五輪・パラリンピック開催に伴う経済効果を期待したのでは、という声もあがっています。
オリンピックの経済効果で消費増税の悪影響を相殺しようという魂胆です。

このような経緯で10%への増税が2度延期されてきたのですが、果たして今回の増税は予定通り実施されるのでしょうか。

3.消費税増税に関する最近の政府関連者の発言

安倍首相は予定通り増税するという立場を崩していませんが、その他の政府関係者の見解も合わせて確認しておきましょう。

2019年4月18日には、安倍首相の側近である自民党・萩生田光一幹事長代行が、「6月の日銀短観の内容次第では、消費増税の延期もありえる」という旨の発言をし、ちょっとした騒ぎになりました。

この萩生田幹事長代行の発言を受けて、菅義偉官房長官は「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、増税するという政府の方針に変わりはない」と計画に変更はないことを改めて強調しました。
萩生田氏の発言はあくまで個人的な見解であり、政府としては増税の予定に変更はないという立場を明確に表明したと言えるでしょう。

また、麻生財務大臣も4月19日に「安定財源の確保が必要である」として、消費税増税に前向きな姿勢を示しました。

さらに、4月29日には自民党の二階俊博幹事長が「消費税の問題をどうするかということを国民に問いかけて久しい。政府および自民党自身が大いなる決断をしないといけない」と表明し、増税延期に対して慎重な立場を示しました。

5月20日には、内閣府から1~3月期の国内総生産(GDP)速報値が発表され、実質ベースで年率2.1%増となりました。
これを受けて、政府・与党内では、予定通り10月に消費税率10%への引き上げを実施すべきだとの声が相次いでいます。

5月28日、菅義偉官房長官および自民党の二階俊博幹事長がそれぞれ会見で、増税計画を変更することはない旨を述べました。

そして、6月11日、経済財政運営の基本方針(骨太の方針)の素案が公表され、その中では、今年10月の消費税率10%引き上げが明記されました。

このように、自民党の主要人物の発言からも、政府の立場が、再延期はなく、「予定通りの増税断行」であることが読み取れます。

2019年参院選の自民党の公約でも、10月に10%増税を明記しています。自民党・公明党がそれなりの票を獲得しまして、政権交代ということもしばらくはありませんので、10月増税は予定通りといえそうです。

4.消費税増税反対派の主張

増税実施日まで半年を切っているにもかかわらず、消費税増税に対しては根強い反対意見が存在しています。
反対派はなぜ増税に反対しているのか、増税にはどのような問題が隠されているのか、これらを知ることも増税を考える上では大切なことです。

4-1.景気減速の恐れ

過去の例からも、消費税増税は景気減速を招く恐れがあることが反対意見の一つです。
さらに言えば、消費税増税がなくても景気悪化が見込まれることも反対派の主張となっています。

実際、大和総研が2019年3月に発表した「日本経済中期予測(改訂版)」では、「2019年以降、トランプ政権の迷走、中国経済や欧州経済の悪化、残業規制の強化、株価下落による個人消費の悪化など内外の様々な下振れリスクが顕在化した場合、日本の実質GDPは最大で3.6%程度減少する可能性がある」との見解が示されており、このまま増税を断行すれば景気に大きな打撃を与えるという意見も頷ける部分があります。

【引用】大和総研:第200回日本経済予測(改訂版)

政府が繰り返し発言している「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り増税」という条件ですが、リーマン・ショック当時のGDP成長率はマイナス3.7%です。
先ほどの大和総研の予測数値はリーマン・ショックに匹敵する景気減速ということになります。

5月20日には2019年第1四半期のGDPが発表されますが、ここで日本経済の減速が明らかになれば、さらに増税への風当たりが強くなる可能性もあるでしょう。

4-2.民意

消費税増税に反対する民意が根強いという問題もあります。

朝日新聞が2019年3月に行った調査では、55%の人が増税に反対という結果が出ています。
その他のメディアによるアンケートでも、概ね5割~6割の人が反対という立場を示しており、政府にとっては頭が痛いところでしょう。

こういった民意は、消費税増税に対して反対の立場をとっている野党の格好の材料となります。
7月に行われる参議員選挙において、増税が自民党にとって逆風となる可能性も否定できません。

4-3.米国からの圧力

反対派の意見とは少し違いますが、トランプ大統領が日本の消費税増税に批判的な見解を示しています。
なぜアメリカが日本の税制にまで懸念を示しているのかというと、貿易面に影響を及ぼすことが予想されるからです。

トランプ大統領は、日本に対する貿易赤字の原因として、日本が輸出産業に対する消費税を免除していることが大きな要因であると考えています。
輸出産業は結果として多額の消費税還付金を受け取ることができるため、この消費税の還付金をして「輸出産業に対して補助金を支払っており、競争相手であるアメリカ企業が不利となる」と考えているのです。
消費税が増税されれば輸出産業が受け取る還付金の額もさらに増えるため、増税に反対しているという理屈です。

また、トランプ大統領の経済ブレーンの一人であるとされる、スティーブ・ムーア氏が雑誌「ザ・リバティ」のインタビューで次のように語っています。

「10%への増税は恐るべきアイデアであり、最悪の選択です。日本経済が成長していないところに増税したら、もう成長を取り戻せなくなります。

(中略)

トランプ政権と良好な関係を持つ安倍政権が、成長政策とは真逆の方向に進もうとしていることは非常に残念です。日本政府が今すべきことは、消費税の増税ではなく、法人税と所得税の減税です。」

【出典】トランプの経済ブレーンが「中止」を緊急提言 消費増税は「最悪の選択」- ニュースのミカタ 特別編 | ザ・リバティWeb/The Liberty Web

このように、国外からも消費税増税に批判的な意見があることも事実です。

5.今後の可能性

消費税増税の実施日まですでに半年を切っていますが、今後どの方向へ向かう可能性が高いのでしょうか。
結論から言うと、予定通り消費税率10%への引き上げが実施される可能性が高いと言えるでしょう。

2018年12月21日には、「2019年度税制改正大綱」が閣議決定されました。
この税制改正大綱には、消費税10%引き上げは「確実に実施する」と明記されています

さらに言えば、政府は景気減速の防止策として住宅や自動車購入時の減税措置の拡充、研究開発費減税の拡大などを盛り込んでおり、増税への体制が整備されています。

この段階になってまた増税延期となれば、すでに準備を進めている官庁・自治体・企業などの混乱は避けられません。
もちろん国民目線で考えて欲しいのは確かですが、政府は財源確保のために消費税増税は避けられないという姿勢を崩しておらず、安倍首相も増税実施に前向きな立場を取り続けています。

このような状況を考えると、余程のイレギュラーな事態が生じない限り、消費税増税は予定通り実施されると考えてよいのではないでしょうか。

まとめ

消費税増税を取り巻く状況を振り返り、本当に増税が実施されるのかどうかを検討してきました。
答えは誰にも分らないと言ってしまえばそれまでですが、できれば事前に予測を立てて準備しておきたいところですよね。

過去2回増税が延期されていますが、それは景気減速を恐れたという理由が一番でした。
今回の増税についても同様の懸念はありますが、政府は景気減速対策を具体的に示しており、予定通り増税に踏み切る可能性が高いと考えて良いでしょう。

とはいえ過去2度延期された経緯もありますし、反対意見も根強く残っています。
今後どういった方向で議論がなされるのか、引き続き注視が必要です。

この記事が役に立ったらシェアしてください!

GoogleAdsense関連コンテンツ