受け取った保険金の消費税区分と仕訳例【ケース別】

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保険金 自動車 修繕

事故や業務上の過失があった場合に、保険に加入していれば保険金を受け取ることができます。
頻繁に発生するものではないだけに、保険金受け取りに関連する取引の消費税区分と仕訳に悩む方も多いことでしょう。

そこで、この記事では、自動車保険を例に、様々な保険金の受け取り方と、その消費税区分・仕訳例について解説します。

1.保険金の消費税区分

受け取った保険金、つまり保険金収入の消費税の取り扱いは、課税対象外(不課税取引)となります。
不課税取引なので、消費税の計算上、全く考慮されない収入となります。

保険金収入は、商品を販売したり、サービスを提供した結果得た収入ではありませんよね。
このような収入は対価性がない収入とされるため、不課税取引に該当するのです。

2.保険金の受け取り方と仕訳例

実際に自動車に関する保険金を受け取ったときの仕訳例と消費税区分をケース別に確認しておきましょう。

なお、以下のケースの仕訳例は、受け取った保険金の全額を雑収入としています。
もし保険積立金や配当積立金を計上していた場合は、受け取った保険金と資産計上している積立金との差額が雑収入となる点に注意してください。

①契約者が保険金を受け取り、自分で修繕費を支払う場合

まずは、自らが保険会社から保険金を受け取って、修理代金を修理会社に支払うケースの仕訳例を見ていきましょう。
このケースはシンプルに各取引を仕訳すればOKです。

・保険金受け取り時の仕訳例
借方科目金額貸方科目金額
普通預金1,000,000円雑収入1,000,000円(不課税)
・修理代金支払い時の仕訳例
借方科目金額貸方科目金額
修繕費1,000,000円(課税仕入)普通預金1,000,000円

前述のとおり保険金収入は不課税となりますが、保険金収入で支払った修繕費は課税仕入となる点に注意してください。

なお、課税仕入れとなるかどうかに資金調達の手段は無関係です。
例えば修繕費を自己資金で支払おうが、借入金や保険金で支払おうが、修繕費は課税仕入れとなります。

②保険会社が直接、相手または修理会社に支払う

保険金が被保険者を経由せず、保険会社から修理工場に直接支払われるケースもあります。
この場合自社に保険金が入ってこないため、「仕訳なし」としてスルーしかねないため注意しましょう。

一度お金の流れを整理して考えてみましょう。
このケースでは保険金こそ入ってきませんが、①のケースとの違いは「保険金が自社を経由するかどうか」の違いしかありませんよね。

  • ①のケース…保険会社→自社→修理会社
  • ②のケース…保険会社→修理会社

したがって取引の実態は①のケースとほぼ同じであると考えます。
このケースの仕訳例は次のとおりです。

・仕訳例
借方科目金額貸方科目金額
修繕費1,000,000円(課税仕入)雑収入1,000,000円(不課税)

実際には保険金を受け取っていませんが、上記のように仕訳すれば保険金を受け取って修繕費を支払った①のケースと結果としては同じとなります。

保険金が入ってきていないからと言って仕訳なしで処理してしまうと、修繕費の仕入税額控除を受けることができないので消費税額の計算上損を被ることになってしまいます。

請求書の保存が必須

補足ですが、仕入税額控除を受けるためには請求書の保存が要件となります。
このケースで言えば、修理工場から発行される請求書と、保険会社から発行されるの保険金の支払通知を必ず保管しておきましょう。

万が一修理会社から請求書が送られてこない場合は、必ず相手先に請求して発行してもらうことを忘れないでください。

3.その他の保険金受け取りと、各種支払い別の仕訳例

前章で代表的な保険金関連の仕訳例を確認してきました。
それ以外にも様々なケースが考えられますので、もう少し仕訳例と消費税区分を紹介します。

①保険金を受け取り、損害賠償金を支払う場合の仕訳例

保険金収入で損害賠償金を支払った場合、保険金収入も支払った損害賠償金も不課税となります。

・保険金受け取り時の仕訳例
借方科目金額貸方科目金額
普通預金1,000,000円雑収入1,000,000円(不課税)
・損害賠償金支払い時の仕訳例
借方科目金額貸方科目金額
損害賠償金1,000,000円(不課税)普通預金1,000,000円

損害賠償金は通常、不課税取引に該当しますが、次に該当する損害賠償金は課税取引となる点に注意してください。

  • 損害を受けた商品を相手に引き渡した場合で、その商品がそのまま又は軽微な修理で使用可能となる場合に受け取った損害賠償金
  • 不動産の明渡遅滞に伴う損害賠償金
  • 無体財産権の権利侵害に関する損害賠償金

②免責金額がある場合の仕訳例

保険に加入していても、損害金額の全額が補償されるとは限りません。
場合によっては免責金額として、被保険者が損害金額の一部を自己負担しなければならないケースもあります。
免責金額がある場合には、その支払形態にかかわらず総額で計上します。

・実際にかかった修理費が100万円で、免責金額が5万であった場合の仕訳例

下の仕訳例は、免責金額のみ自社から修理業者に直接支払い、残額は保険会社から修理業者へ支払が行われるケースです。

借方科目金額貸方科目金額
修繕費1,000,000円(課税仕入)普通預金50,000円
雑収入950,000円(不課税)

先ほど解説しましたが、どのような方法で支払うかは消費税区分に全く関係ありません。
したがって修繕費として支払った100万円がそのまま全額課税仕入れとなります。

4.保険会社に請求する保険金は税込?税抜?

例えば交通事故に遭って車の修理が必要となった場合、まずは修理会社に修理代金の見積もりを依頼します。
その見積額が税抜価格で1,000,000円(消費税額100,000円)であった場合に、請求できる保険金は税抜価格の1,000,000円でしょうか?それとも税込価格の1,100,000円でしょうか?

結論から言うと、保険金は税込価格を請求するのが正しいと言えます。
しかし、実態は税抜価格を提示されるケースもあるようです。

そもそも保険金とは、事故によって被った損害金額を補償するものです。
修理代金には当然消費税が上乗せされますし、その消費税額も含めて損害金額と考えるのは当然の話です。

では、税抜価格を提示される可能性があるケースとはどのような場合でしょうか。
それは「保険金を受け取っても修理に使用しないと考えられる場合」に生じ得るようです。

消費税はその名の通り「消費」された時点で課される税金です。
まだ修理を行っていなければその時点では消費税は生じていません。
さらに言えば、保険金を受け取っておいて、修理代金に使用せず貯金に回すなどした場合には、消費税は永遠に生じないこととなります。
こういったケースを気にして、保険会社が税抜価格を提示してくるケースもあるようです。

確かに保険金を受け取っておいて、修理代金に使用しない場合には税抜価格を提示されても強く請求しづらい面はあるでしょう。
しかし、確実に修理代に補填しようと考えている方は、税抜価格を提示されたときは保険会社と交渉することをおすすめします。

まとめ

保険金の受け取りと、その使用時の仕訳例・消費税区分のパターンについて解説してきました。
この記事で紹介した例はほんの一部ですが、次の基本を押さえておけば大体のケースに応用できるはずです。

  • 保険金収入は不課税(課税対象外)
  • どんな手段で支払おうが、修繕費は全額課税仕入れ
  • 損害賠償金の支払いは、通常全額不課税仕入れ

また、保険会社から受け取ることができる補償金額は「税込の修理代金」であることも頭に入れておきましょう。
実際に保険金を修理費に補填するつもりの方は、税抜価格を提示されてすんなり受け入れないよう注意してください。

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