助成金・補助金を受け取ったときは消費税分の返還が必要になることも

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助成金 補助金

近年、様々な名目の助成金・補助金・給付金などが活発に企画されています。
事業を成功させるためにも利用できる助成金や補助金は積極的に活用したいところです。

しかし、補助金や助成金を受け取ったあとに、消費税分の金額の返還が必要になる場合があることを知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、返還が必要な理由・返還が必要な事業者について詳しく解説します。

1.助成金・補助金の種類

まずは現在実施されている助成金・補助金のごく一部を紹介します。
なお、以下の助成金・補助金は2019年5月時点で実施されている内容である点に留意してください。

助成金・補助金名称上限金額補助率内容
創業助成事業300万円2/3創業予定者または創業から間もない中小企業者等に対し、創業期に必要な人件費、事務所等賃借料、広告費等の経費の一部を助成
革新的サービスの事業化支援事業2,000万円1/2都内中小企業者が取り組む革新的なサービスの事業化に要する経費の一部の助成と、事業計画のブラッシュアップや事業化に向けた実行支援
ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業1,000万円~2,000万円1/2~2/3複数の中小企業・小規模事業者等が連携して取り組む、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援
訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業費補助金上限なし1/3訪日外国人を含む旅行者のために「外国人観光案内所」「公衆トイレの洋式便器の整備及び機能向上」等の整備を促進
中小企業・SDGsビジネス支援事業(普及・実証・ビジネス化事業)1~2億円100%開発途上国の開発ニーズと日本の民間企業の優れた製品・技術とのマッチングを行い、「SDGs達成に貢献するビジネス」及び開発途上国の課題の解決に対する支援
インキュベンチャー支援事業2,000万円起業前・起業後間もない事業者を対象とし、独創性に富み、公益性の高い新製品や新技術を支援
若手・女性リーダー応援プログラム助成事業事業所整備:400万円・他3/4等都内商店街で新規開業する女性や若手男性に対し、店舗の新装等や設備導入等に要する経費の一部を助成と、商店街における開業者の育成及び支援
LED照明等節電促進助成金1,500万円1/2都内事業者又は都内本社で関東の工場への節電設備の設置支援
サービス等生産性向上IT導入支援事業150~450万円1/2中小企業・小規模事業者等がITツールを導入する経費の一部を補助

上記以外にも地方公共団体が実施しているものなど、様々な補助金や助成金があります。
自社に関係するものがないか一度調べてみることをおすすめします。

2.消費税分の返還が必要となる理由とは?

「補助金や助成金のうち、消費税分を返還する必要がある」と言われても、なぜ返還しなければならないのか、理由が分からない方がほとんどではないでしょうか。
まずは返還が必要となる理由を理解しておきましょう。

補助金収入や助成金収入は、消費税法上、不課税取引に該当します。
しかし一方で、補助金収入を得て行う事業に費やす経費は、控除対象仕入税額として仕入税額控除することが可能となります。

要するに、補助金収入を得て行う事業に限って考えると、課税売上はゼロである一方、事業にかかった経費を控除対象仕入税額に算入できるため、課税事業者はその消費税相当額の還付を受けることができるのです。

これを補助金を支給する国の立場で考えると、補助金を交付したうえに消費税を還付することになるため、その分を重複して支給していることと同義となります。

こういった事象を調整するために、控除対象仕入税額のうち補助金に係る部分(消費税の確定申告において控除対象仕入税額に算入した金額に限る)について、返還が必要となる場合があるのです。
また、補助金の支給者が国ではなく各自治体である場合にも、返還が必要となる場合があります。詳細は各自治体のホームページで確認してください。

2-1.具体例

補助金・助成金の返還必要となる理由について、具体例を挙げてより分かりやすく解説します。

例:補助金収入500万円、補助金で機械設備450万円(税抜)を購入したケース

  • 課税売上…0円
  • 課税仕入…450万円
  • 控除対象仕入税額…450万円×10%=45万円

上記の例を見ていただければ分かるとおり、この「補助金収入を得て機械設備を購入する」という一連の取引だけを切り取れば、補助金500万円を得たうえで、控除対象仕入税額45万円の還付をも受けることができるのです。

仮に消費税の計算を全額控除により行う場合には、機械設備の購入に係る消費税額45万円の全額を、国や自治体に返還しなければなりません。

個別対応方式による場合「共通対応」に区分した場合や、一括比例配分方式によって計算した場合は、消費税額45万円に課税売上割合を乗じた金額を返還することとなります。

3.補助金返還が必要な場合とは?

「消費税分を返還すること」という要件があったとしても、全ての事業者が返還しなければならないわけではありません。
補助金の返還が必要となる事業者は、次のすべてに該当する事業者です。

  1. 消費税の課税事業者である
  2. 原則課税方式により申告している
  3. 補助金によって支出した経費に係る消費税額を、仕入税額控除として税額控除している

消費税の免税事業者であれば還付を受けることもありませんし、補助金の返還をする必要はありません。
また、簡易課税方式により消費税の申告をする場合、補助金によって支出した経費は消費税の計算に関係してこないため、この場合も補助金の返還は必要ありません。

なお、上記3つの条件に加えて、特定収入割合が5%以下の公益法人等も返還が必要となります。

4.補助金返還が必要とならない場合

補助金の返還が不要なケースは、簡単に言えば先ほどとは逆のケースです。
具体的には以下のいずれかに該当する場合、補助金の返還は必要ないこととなります。

  1. 消費税の確定申告の義務がない
  2. 簡易課税方式により申告している
  3. 公益法人等で、特定収入割合が5%を超えている
  4. 補助金によって支出した経費に係る消費税額を、個別対応方式において「非課税売上のみに要するもの」として申告している
  5. 補助金によって支出した経費すべてが人件費等の不課税仕入・非課税仕入である

上記のいずれかに該当する事業者は、そもそも消費税面で得をすることがないため、補助金の返還も不要です。

ただし、次章で説明するとおり、補助金の返還が不要な場合でも自治体への報告が必要となります。

5.自治体への報告が必要

補助金の返還が必要な場合はもちろんのこと、補助金の返還が不要な場合でも補助金を受けた自治体への報告が必要な場合が多いことに注意してください。

報告に必要な書類や提出期限は補助金や助成金の交付元ごとに異なる場合がありますが、消費税の確定申告後速やかに報告書を提出する必要があると考えてください。
詳細は各自治体のホームページ等で確認してください。

5-1.報告を忘れた場合のペナルティとは?

気になるのが「報告を忘れたらどうなるの?」という部分ではないでしょうか。
報告漏れのペナルティが明言されていない自治体もありますが、決して軽視しないでください

報告がなかった場合、「補助金の交付の条件を満たしていない」とみなして補助金自体の返還を求める可能性に言及している自治体もあります。

そうである以上、報告を忘れたら補助金・助成金全額を返還しなければならない可能性もあると考えるべきでしょう。
報告は必ず行わなければならないと考えてください。

6.助成金・補助金返還のフローチャート

最後に、助成金・補助金返還のフローチャートを確認しておきましょう。
内容的にはここまで解説してきた内容のおさらいになりますので、フローチャート中に分からない点があれば記事の該当部分を読み直して理解を深めておきましょう。

助成金・補助金返還のフローチャート
消費税の確定申告義務がある
No
返還額
0円
↓ Yes 
簡易課税方式で報告している
Yes
↓ No 
公益法人等である、かつ、
特定収入割合が5%を超える

Yes
↓ No 
補助対象経費は
人件費等の非課税仕入のみである

Yes
↓ No 
個別対応方式で
対象経費に係る消費税などを非課税売上のみに
要するものとして申告している

Yes
↓ No  
補助金返還が必要

最後に繰り返しになりますが、助成金の返還が必要ない場合であっても忘れずに報告を行いましょう。
提出期限間近になって焦ることがないように、助成金の交付を受ける時点で意識しておくことが重要です。

覚えておく自信がない方は、助成金の申請をした時点で税理士や社労士など専門家に相談しておくことをおすすめします。

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