自動車リサイクル預託金の仕訳と消費税

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自動車 リサイクル

自動車購入時や下取りに出した際の仕訳は、様々な項目があるため複雑で頭を悩ませるものです。
その中でも仕訳処理に迷ってしまうのがリサイクル預託金の仕訳ではないでしょうか。

加えて、消費税の取り扱いについても特殊な面があるのがリサイクル預託金の特徴です。
業種によっては頻繁に出会う処理であるため、自動車購入時、売却時、廃車時それぞれの仕訳と消費税の処理方法を漏れなく覚えておきましょう。

1.自動車リサイクル預託金とは?

リサイクル預託金は自動車購入時の見積書などで目にしたことがある方も多いことと思います。
リサイクル預託金とは、自動車リサイクル法に基づき支払う料金です。

車を廃車にするときはエアバッグ類のリサイクルやカーエアコンのフロン類の廃棄に費用がかかります。
それらの廃棄料金を、自動車購入時にあらかじめ支払っておく必要があるのです。
なお、リサイクル預託金を細かく見ると次のような項目に分けられます。

  • シュレッダーダスト料金
  • エアバッグ類料金
  • フロン類料金
  • 情報管理料金
  • 資金管理料金

これらの費用の総称が「リサイクル預託金」ということになります。
上記の項目を完璧に覚える必要はありませんが、項目によって仕訳や消費税処理方法が変わってくることは知っておいてください。

2.自動車の取得時の仕訳

リサイクル預託金はその名の通り、あくまで購入時は「預託金」としての性質を持ちます。
したがって購入時には経費計上せず、「リサイクル預託金」という資産科目に計上します。
貸借対照表上では、リサイクル預託金は「投資その他の資産」に区分されます。

自動車取得時の仕訳例

例:自動車を購入し、車両本体価格3,000,000円とリサイクル預託金16,830円(うち資金管理料金330円、税率10%)を支払った。

借方科目金額貸方科目金額
車両運搬具3,000,000円普通預金3,016,830円
リサイクル預託金
(投資その他の資産)
16,500円  
支払手数料300円  
仮払消費税30円  

先ほど説明した通り、リサイクル預託金は「投資その他の資産」に計上します。
ただし、リサイクル預託金のうち資金管理料金に限り、自動車購入時に課税仕入れに計上することに注意してください。

3.自動車売却時の仕訳

自動車購入時に資産計上したリサイクル預託金はいつ清算されるのでしょうか。
預託済みのリサイクル預託金は、自動車売却時に一緒に売却する形で処理されることとなります。

自動車売却時の仕訳例

例:自動車(帳簿価格1,800,000円、購入時リサイクル預託金16,500円)を2,000,000円で売却した。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金2,000,000円車両運搬具1,800,000円
固定資産売却益183,500円リサイクル預託金16,500円
(非課税売上)

売却した車両の購入時、資産計上していたリサイクル預託金を車両と一緒に譲渡するイメージです。
後ほど詳しく解説しますが、このリサイクル預託金の売却は、「金銭債権の譲渡」としての性質があると判断され、消費税の「非課税売上」に該当します。

なお、個人事業主の場合、自動車売却益は譲渡所得に該当します。
したがって事業所得に反映させないよう、「固定資産売却損益」ではなく「事業主貸(借)」に計上してください。

4.自動車廃車時の仕訳

自動車売却時にリサイクル預託金が清算されることを解説しましたが、では自動車が廃車になった場合はどうなるのでしょうか。

実は自動車を廃車にした場合、リサイクル預託金は返金されません。
損したように思えるかもしれませんが、リサイクル預託金はそもそも廃車時にかかるコストの前払い的性質であるため、廃車時に返金されないのは当然と言えば当然ですよね。

仕訳方法としては、資産計上しているリサイクル預託金を、廃車の時点で費用として処理することになります。

自動車廃車時の仕訳例

例:自動車(帳簿価格1,800,000円、購入時リサイクル預託金16,500円)を廃車にした。

借方科目金額貸方科目金額
車両廃棄損1,800,000円車両運搬具1,800,000円
支払手数料15,000円リサイクル預託金16,500円
仮払消費税1,500円  

廃車にした場合には、「自動車の廃棄処分サービス」というサービスの提供に対する料金であると考えるため、資産計上してあるリサイクル預託金と同額を支払手数料として処理します。

なお、廃車にした場合、リサイクル預託金の全額が課税仕入に該当することとなる点に留意してください。

5.リサイクル預託金の消費税処理と課税売上割合

ここまで主にリサイクル預託金の概要と仕訳例を解説してきました。
しかし、リサイクル預託金は消費税処理が複雑な面もあります。
すでに解説した内容と重複する部分もありますが、購入時、売却時、廃車時それぞれの消費税処理の方法を改めて確認しておきましょう。

5-1.自動車購入時の消費税処理

自動車リサイクル法におけるリサイクル預託金のうち、以下の料金は課税仕入れに該当しません。

  • シュレッダーダスト料金
  • エアバッグ類料金
  • フロン類料金
  • 情報管理料金

これらの料金は資金管理法人への預託金的性質を持つため、不課税取引に区分されます。

一方、リサイクル預託金のうち資金管理料金については「資金管理法人の運用・管理等のサービス料金」としての性質を持つため、課税仕入れに該当します。
単純に「リサイクル預託金のうち資金管理料金のみ課税仕入れに計上可能」と覚えておいて問題ないでしょう。

5-2.自動車売却時の消費税処理

一方、自動車売却時・下取り時のリサイクル預託金の取り扱いはどのようになるでしょうか。
まず、先ほども触れた通り自動車売却時には、購入時に預託済みのリサイクル預託金は「金銭債権の譲渡」として非課税売上に計上されます。

課税売上割合に注意

自動車売却時の消費税処理で注意が必要なのは、課税売上割合の計算上、このリサイクル預託金の譲渡金額に5%を乗じた額を課税売上割合の分母に算入する点です。
計算方法としては、貸付金や有価証券を譲渡した際と同様の処理となります。
ここは間違えやすいポイントなのでしっかり押さえておきましょう。

5-3.自動車廃車時の消費税処理

購入時に課税仕入れとならなかったリサイクル預託金ですが、自動車を廃車にした際に課税仕入れに計上されます。
自動車購入時に支払った預託金は、廃車時に「自動車の廃棄処分サービス費用」として活用されます。

要するに自動車を廃車にして初めてサービスの提供を受けることとなるため、ここでようやく課税仕入れに計上することができるのです。

まとめ

覚えにくいリサイクル預託金の購入時、売却時、そして廃車時の仕訳処理と消費税処理方法について解説してきました。

リサイクル預託金はそこまで高額なものではないため軽視してしまいがちですが、経理担当者としては確実に正しい処理ができるよう心掛けておきましょう。

一番わかりにくい部分である「売却時は非課税売上となる」「廃車時は課税仕入れとなる」という2点はしっかり区別して覚えておいてください。

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